毎年、年末や確定申告シーズンになると頻繁に見かける国税庁を装ったフィッシングメールの報告が増えてきます。
所得税の滞納金について国税庁から送られてきたかのように見せかけた迷惑メールが多発しており、巧妙な手口で個人情報を盗もうとする試みが見られます。
本記事では、実際に届いたフィッシングメール「e-Tax税務署からの【未払い税金のお知らせ】」を基に、その特徴と対策について詳しく解説します。
メールの内容
メールの差出人は国税庁 <nta-Administrator-i9608fpfgpv31qo9eha2hch45@zreg.com>で送信者ラベルが「国税庁」ではあるものの、メールアドレスは不審なドメイン(@zreg.com)でした。メール送信元は中国のIPアドレスです。
スマートフォンのメーラーの場合、差出人名しか表示されないため注意する必要があります。
本文は以下の通り。
◯◯◯様
e-Taxをご利用いただきありがとうございます。
あなたの所得稅と滞納金について、これまで自主的に納付されるよう催促してきましたが、まだ納付されておりません。最終期限までに納付がない場合、税法により不動産、自動車などの登記登録財産や給料、売掛金などの值権などの差押処分に着手致します。
納稅確認番号:****4520
滯納金合計:1280円
納付期限: 2024/12/02
最終期限: 2024/12/05(支払期日の延長不可)
お支払いへ⇒
※ 本メールは、「国税電子申告・納税システム(e-Tax)」にメールアドレスを登録いただいた方へ配信しております。
なお、本メールアドレスは送信専用のため、返信を受け付けておりません。ご了承ください。
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発行元:国税庁
Copyright (C) NATIONAL TAX AGENCY ALL Rights Reserved.2024
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メールの分析
差出人の不自然な点
送信元のメールアドレスが違っていても、スマートフォンのメールの場合、差出人名しか表示されないので一目ではわからないです。
送信者名が「国税庁」と表示されているため特にモバイル端末ではわかりづらくなっています。
また、メールヘッダーを確認すると送信元IPアドレスが日本ではなく海外となっていることがわかりました。
本文の内容
そもそもの話、e-Taxのメールは通知があった旨の内容のみで、本文を読むにはマイナンバーカードの電子証明書が必要になります。
個人納税者に係るe-Taxのメッセージボックスの閲覧については、セキュリティ対策の観点から、平成31年1月以降、原則としてマイナンバーカード等の電子証明書が必要になりました。
平成30年12月以前に格納されているメッセージの閲覧についても電子証明書が必要となりますので、ご注意ください。
また、電子証明書をお持ちでない方でも、メッセージボックス一覧を表示することは可能ですが、原則としてメッセージには鍵マークが付いており、閲覧することができません(エラー情報がある場合には、エラー情報のみ閲覧が可能です。)。
なお、①所得税徴収高計算書の提出、②納付情報登録依頼、③納税証明書の交付請求(税務署窓口での交付分)の3手続については、電子証明書がなくても閲覧が可能であることから、メッセージに鍵マークが付くことがありません。
引用:e-Tax公式サイト
リンク先のドメインは中国のドメインでVirusTotalで確認したところ、マルウェア判定されているサイトとなっていました。
ページを進めると個人情報、クレジットカード納付の手続きなど偽物のサイトとは思えない表示のため、絶対に情報を入力しないようご注意ください。
フィッシングメールの見分け方
メールのリンクからではなくアプリやブラウザから公式ウェブサイトへアクセスし、自分の請求情報を確認してください。用意されていれば公式アプリを利用するのが安全です。
メールにリンクがある際には、クリックする前にマウスカーソルをあわせてリンク先のURLを確認しましょう。公式サイトのURLと異なる場合は詐欺ですので絶対にクリックしないようにしてください。
なお、スマホの場合はリンクを長押しすると「開く」「コピー」「共有」といった選択肢のダイアログがでますので、上部に表示されたURLを確認するとよいでしょう。
iPhoneのOSによってはリンクを選択して「調べる」を選ぶと以下の画面のように情報を閲覧できます。
まとめ
本記事では国税庁を騙る「e-Tax税務署からの【未払い税金のお知らせ】」という迷惑メールについて紹介しました。
迷惑メール(フィッシング詐欺)は年々巧妙化しており、誰もがターゲットになる可能性があります。今回のようなメールに遭遇した場合は、絶対にリンクをクリックせずに冷静に対応するようお願いします。
さらに自分の身を守るだけでなく、家族や友人にも情報を共有することが大切です。日頃から疑わしいメールには警戒心を持ち、安全なオンライン活動を心がけましょう。
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